腕組み2題

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学生時代、クラスメイトとふたりで実験をしていたときでした。
実験手順について「ここはこうだよね」と軽く確認したところ、その相方は黙り込みました。
じっと考え込んでいた彼は、1時間後、こう答えました。

「・・・いや。」

私は笑い出したくなると同時に、その返答の慎重さに感動しました。
今では全くの没交渉なのですが、あごに手をやって腕組みをする姿が今でも思い出されます。
軽い気持ちで質問した自分、対して彼の返答の誠実さ。
そのコントラストが今でもそのときのことを時折思い出させます。

・・・・・・

昔、そのときの彼女と歩いていたとき、彼女が腕を組んでこようとしてきました。
街中で照れくさかったのとすこしの冗談のつもりで、肩で彼女を軽く押し返したら、

「愛してないの?」

・・・衝撃のあまり、返しの言葉が出なかった・・。

愛するなどという言葉など日常ではまず使ったことがありません。
英語の曲で「オー、ベイブ」とうたうのに違和感を覚えるのと同じで、自分の中に定着していない言葉なのでした。

今思えば、あまり恋愛経験のない子だったのにそんな言葉をよく使ったななどと冷静に振り返れますが、そのときは彼女の官能的な眼差しに思考停止に陥ったのでした。

どっちがウブなのか、わかりませんね。

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