子供

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ふたつ隣の席に、母親と3人の子供が座っている。

上のお兄ちゃんが口をもぐもぐさせながら私をしばらく見つめる。
弟はすぐに真似をして見つめてきた。
妹はまだ小さく、母親に背負われている。その妹が私に気付いた。
気付かれたらおしまいである。ずっと見てくる。

オトナという垢にまみれた品性下劣な私は、たまらず本に目を落とした。

母親たちがトイレに立って、ひとり残されたお兄ちゃんに聞く。

「何年生?」
「2年生」
「弟は5才くらい?」
「5才です」
「妹は1才になったくらい?」
「11か月。〇月〇日で1才です」

・・しっかりとした受け答えに軽い驚き。子供は育っている。
この勝負、子供への社会的包摂どころか、大人の自分が逆に包摂されたかもしれない(爆)。

足場のまったくない場所からの、あらゆる認識の構築と定着という「人生最大の難題」を、その人生のしょっぱなから克服してしまう子供。
一方、低い志、それゆえに低い指向性と、あいまいで愚鈍な意識にかまける大人。
子供の濃密さとくらべれば、大人の日常とはほとんど油を売っている時間なのに等しい。

「生きるのに、こんなに簡単なことで良いのか?」と初めて感じたことに誰でも思い当たるだろう。
子供という偉大な発育者から、大人という凡人への堕落である。

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