あの怪物がグローブを置く。
本格派のエースたち
松坂大輔が日本球界の至宝になったとき、ダルビッシュ有はまだその域に達していなかった。
既に高いレベルにはあったのだが、明らかに松坂大輔がすべてをけん引していたように思う。
その後の彼は松坂に届いただろうか。
ダルビッシュのその後の進化もまた、松坂の存在がメルクマールであり続けただろう。
田中将大はどうだろうか。
マーくんもまたダルビッシュの存在を頭に置いて進化してきたに違いない。
そのあとに続くひとは。
ダルビッシュ有と田中将大
思えば、我が日本のエースの系譜を引き継ぐ3人のピッチャーを並べてながめることはなかった。
筋肉の質や骨格の特徴など目に見えない所を別にすれば、まずは体の大きい方が有利である。
エネルギーをボールの回転力や速度にどのように配分するにしろ、体が大きい(長い)方が、アークの大きさによって力積をより多くボールに伝えることができる。
この点で恵まれているのは、ダルビッシュだ。
今や変化球マニアとなったダルビッシュは、変則的な日程の年だったとはいえ、サイ・ヤング賞候補になるまでにキャリアを積み重ねた。
いわしんの好きな、見ていて楽しい選手である。
余談だが、いわしんが特に見ていて楽しい野球選手は3人いる。 落合博満 桑田真澄 そして松坂大輔だ
田中将大も松坂よりすこし大きい。
肩幅もありそうな感じで、これでアークを稼いでいるのだろう。やや撫で肩に見えるが(もしかして筋肉?)、これが何らかの特性に関係しているのか。
本格派のピッチャーにはストレート系の球威は必須だが、さらに彼の持つ強味は制球力だろう。このストライクゾーンの出し入れで、名門ヤンキースのローテの一角を守り続けた。
江川卓と松坂大輔
松坂も決して小さくはないが、前への推進力を稼ぐために、胴体を前に倒すという特徴的な動きが印象に残る。
怪我をしてからは、体を前へ進めるときのスムースさが少し失われていて、リリースでも力が伝わり切れていない感じがした。体に痛みがあったのだろう。
全盛期の彼は、しかしあの独特な沈み込みのフィニッシュ・モーションで投げる、楽しくもヤンチャなピッチャーだった。
同じ「かつぎ投げ」のような系統で、地肩の強さでボールを「切る」江川卓もカッコイイが、体全体を使った松坂の爆発的な投球もまた、センスのかたまりだ。
「ヒーローになりたかった」松坂大輔は、まぎれもなく平成の怪物である。
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