齢を取ろう 老水夫のように
『38万キロ』
齢を取ろう
そして月までの38万キロを
航海しよう
帰り道に、4分ほど真っ直ぐに続く遊歩道がある。
その真正面に、もうすぐ弦月を迎える上弦の月が浮かんでいる。
38万キロをじっと感じながら歩く。
まだ18時過ぎだが、もう宵の口は過ぎている。これから存分に夜を長く楽しめるのだ。
そして
母親の愛情が子供に追いつけないように、いつだって月は太陽に遅れ続けている。
プラネタリウムの作り方
部屋の窓際にメロンを置く。
部屋の反対側の窓にはピンポン玉を置く。
これで1億分の1の地球ー月系の縮尺の絵になる。
地球の直径 約1万3000km → 13cm 月の直径 約3500km → 3.5cm 地球ー月間の距離 約38万km → 3.8m
例えば6畳くらいの部屋なら、その長辺の長さがほぼ地球=月間の距離の1億分の1になる。
これでもう、世界一簡便なプラネタリウムの完成だ。
地球役のメロンは、リンゴでもソフトボールなどでも良いが、なるべくつるつるの球体の方が、ソリッドな天体感が出てお勧めだ。
地球と月のあいだで暮らす
これをひらめいてから、じわじわと感動がおそってきた。
帰宅して部屋に帰る。窓辺に地球がある。部屋の反対側を見ると月がある。
その38万キロのあわいで暮らすのだ。なんという浪漫の完成だろう。
例えば彼女の部屋にこんな仕掛けがあったらイチコロかもしれない。感動の流れ星が目から飛び出るだろう。
あらためてこうしてみると、地球=月系はとても頼りない。古典力学のすごみを感じる。こんなにも頼りなく見えるのに、何十億年も安定した関係を保っているのだ。
それにこんなに離れているのに、月はとても大きく美しく見えないか。明るさがマイナス12等星とアイザック・アシモフが書いたのを読んだらゾクゾクしたのを思い出した。
ちなみに、この縮尺で、我らが太陽はどこにどれくらいの大きさで居るのかというと
太陽の直径 約140万km → 14m 太陽ー地球間の距離 約1億5000万km → 1.5km
ふた駅(1.5km)先の3階建ての家が、核融合で燃えている感じになるよ。
そして国際宇宙ステーションはメロン上空4mmを回っています。カワイイ。
好きだった渋谷の五島プラネタリウムはもうないが、代わりにこの自室の簡易プラネタリウムの下で暮らそう。
アルテミス計画もアルテミスからね。
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